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ママクリエイターのはなし。vol.01 イラストレーター タムラ カヨ

「子供と一緒に何か作ってみたい」

新連載「ママクリエイターのはなし。」。初回登場のママクリエイターはイラストレーターのタムラ カヨさん。1歳と3歳、ふたりの女の子のママをしながら、仕事も頑張るタムラさんは多忙の人。線画とコラージュをモチーフにしたイノセントな世界観で知られる彼女は、雑誌やWeb、広告、プロダクトなど幅広い領域でイラストを発表。その作品にはファンが多く、本連載のバナーもタムラさんに手がけていただいた。「子供たちが起きている間、仕事はほぼできませんね。納期が迫っている時はおんぶしながらイラスト作業をすることも(笑)。子供が生まれたことで、スキマ時間に集中したり、計画的に仕事をする術が身につきました」。聞けば、家事はフリーカメラマンの旦那さんと分担。インタビュー中、「もう少し子供たちが大きくなったら子供と一緒に何か作ってみたい」と笑顔で話すタムラさんに「ママクリエイターのはなし」を聞いた。

ーーイラストレーターになった経緯から聞かせてください。

タムラさん:デザインの専門学校を卒業して、2年ほどデザイン事務所でグラフィックデザイナーをしていました。でも、自分に向いてないと感じるようになって。そんな頃、タイポグラフィをトレースして絵を描きはじめたんです。絵の勉強をしてきたわけではないので今でも絵にはコンプレックスがあるんですけど、文字をトレースしながら線を追加していき、その組み合わせを発展させながら絵にしていくことに面白さを感じて。当時はデビッド・カーソンが描くようなタイポグラフィが好きでした。描く前に完成イメージをもつタイプではないなので、思いつくまま手を動かして描いているうちに形になっていくイメージが近いですね。作風は変わってきていると思うけれど、当時も今も瞬間の思いつきを大切にしています。見ていただくと、例えば配色についても思いつくまま色をのせているのがお分かりいただけるはず。そう、自由なんです(笑)

知人の作家・原田マハさんに「挿絵を描いてみない?」と声をかけられ、イラストレーターデビュー

ーータムラさんの現在の家族構成を教えてください。

タムラさん:夫と、1歳と3歳の女の子の四人家族です。夫はフリーランスのカメラマンです。“何かを作りだす”というテーマで括ると、お互いに親和性のある職種なので、仕事についての価値観は近いほうだと思います。カメラマンという職業柄、現場での仕事が多いので日中はほとんど家にいませんが、サラリーマンの男性に比べると時間的に融通がきくので、そこは助かっていますね。子供がいない時は海外旅行に行ったり、美術館に行ったりしていました。子供が生まれてからはそういう時間は残念ながら(笑)。助け合いなくして、今の暮らしは成り立たないですね。

ーー2016年10月にふたりめのお子さんが誕生。家族が増えたことで、ご自身の時間の使い方はどんな風に変わりましたか?

タムラさん:最初の子の時は子供が寝てから作業する時間を捻出できたんですが、次女が生まれてからは、それはもう時間が全然なくなりました。暮らしそのものが子供中心になりましたね。作品を作るにしても、子供たちが起きている間に仕事はできないので、ふたりが寝た後か、納期が迫っている時はおんぶしながらイラスト作業していた時もあります。限られた時間の中でどれだけ仕事の集中できるかが勝負ですね。あとはスキマ時間の有効活用。夜ご飯の時間までに仕上げるとか、掃除している時にアイデアを考えるとか。メリハリをつけ、計画的に仕事をする術が身につきました(笑)

ーー“ママクリエイター”タムラさんの1日の過ごし方を教えてください。

タムラさん:毎朝9時に2人の子を保育園に送りに行き、その後、クライアントさんとの打ち合わせがあれば会社まで伺い、打ち合わせ。スカイプなどを使って打ち合わせもできると思うんですが、特に初めて会う方とは直接会って話を聞くようにしています。作風上、「自由に作ってください」という依頼が割と多いほうだと思いますが、依頼してくれた方とのコミュニケーションは大切にしていますね。そんなこんなで、自宅に戻ったら家事をし、家事がすべて終わってからイラスト作業の時間です。あっという間に16時になり、保育園のお迎えの時間です。子供たちが家にいる時間は、すでにお話したとおり、ほぼ仕事はできません。基本、寝かしつけながらそのまま寝てしまいますが、仕事が残っているときは頑張って起きています。寝てしまったときは早朝することも。机に仕事道具を広げていると、長女に「何やってるの?」と言われ、油性ペンを取られたものなら……あとはご想像にお任せします(笑)。そういえば最近、始めた当初は子供の写真ばかりあげていたインスタ(@tmky)ですが、もっと発信していこうという気持ちが芽生え、イラストを中心とした写真をアップするようになったんですよ。これ、私自身の成長ですね(笑)

ーータムラ家の子育てのルールはありますか?

タムラさん:ルールはとくに決めてないですね。ルールを決めちゃうと、それに沿わないと、漏れた時に「どうしよう?」ってなってしまうので決めないようにしています。気づいた時に気づいたほうがやる。子育てを楽しんでくれるタイプなので助かってますね。子供たちの育て方でいうと、3歳の長女がいま、クリエイティブが爆発中です(笑)。本当はその気持ちを尊重し、油性ペンでもなんでも、手に持ったら好きなところに好きなだけ描いてほしいとは思っているんですが、賃貸物件に住んでいるので今はそうもいかず。この点については夫とふたり、もどかしさを感じています。遠くないうち、もっと自由に住める場所に引っ越ししたいですね。自分たちの仕事よりも子供ふたりの育つ環境が大切だと思っているので、遠くに住むことになってもオッケーです。子は宝です!

ーー最後にタムラさんが思い描く「これから」について聞かせてください。

タムラさん:もう少し子供たちが大きくなったら子供と一緒に何か作ってみたい。子供向けのワークショップもやりたいです。最近はテキスタイルに興味があり、テキスタイルの仕事もしたいと思っています。いろいろな人と一緒に作品を作りたいと思っているので気軽に声をかけて欲しいです。産む前はキャラクターなしの育児をしようと思っていましたが、実際はアンパンマンや妖怪ウォッチが好きな子供に……ですが、自由で豊かな感性をもつ子に育ってくれたら、それだけで嬉しいですね。

PROFILE

タムラ カヨ

1982年群馬県生まれ、東京都在住。イラストレーター。線画とコラージュをモチーフにし、2005年から絵を描きはじめ、雑誌やWeb、広告、プロダクトなど、幅広い領域にイラストを提供中。イノセントで無邪気な世界観で多くのファンを魅了し、独特の線とタッチで日々絵を描き続けている。主な制作歴は、「Yahoo! JAPAN Internet creative award」、UNIQLO「DESIGNER INVITATION PROJECT」など。現在、二児の母(1歳と3歳の姉妹)。

写真・下屋敷和文 編集/文・紺谷宏之

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